駐車場を契約している入居者の方から、「車を擦られたような傷がある。当て逃げされた。」との相談。
状況としては、昼間、外出のため駐車場に止めていた自分の車に乗り込もうとしたところ、フロントのナンバープレートの枠が激しく損傷しており、まったく身に覚えがないとのこと。
車両を確認したところ確かにナンバープレートとその周りが酷く損傷している。
ただ不自然なことに、脱落しているであろうネジや破片などが落ちておらず、接触した人が発見を遅らせるため拾っていったのではとも疑われました。
駐車場は1階からリフトで地下1階まで下がり、その地下1階駐車場は奥行きのある構造で、中央に車路がまっすぐ延びていて、両サイドに向かい合わせに10台づつの駐車スペースがある。当て逃げされたその車両はほぼ真ん中の位置に駐車しています。
以前、駐車車両が出庫する際に大きな柱に内輪差で接触し損傷させた事故もあったので、申し訳ないが、他の駐車中の契約車両を1台1台確認させてもらったのだが、接触させたような傷のある該当車両は見当たりません。
更に1階駐車リフト乗り口の防犯カメラ画像から、当日入出庫している車両で損傷させた車両を調べたが該当者は確認できず、また、本当に当ビル駐車場内で当て逃げされたものなのかも確認するため、その被害車両の入出庫画像も確認したのだが、防犯カメラの角度上、まったく見えないわけではないが、画質的にもナンバープレート付近の傷の有無がはっきりとよく確認できない。
しかし被害者としては、とにかく「ここに入庫するまでは傷は無かったと思う」と。
その間、被害車両の契約者が警察に相談し、当て逃げの被害届を提出。
そしてその日のうちに警察署の交通課の方より、当社に駐車場入口の防犯カメラの画像調査の協力要請の連絡があり、翌日、交通課の方が来所し、駐車場内各所を見た後、駐車場リフト入口を撮影している防犯カメラの記録画像を確認。
当て逃げしたような車両の有無と、被害車両の傷が入庫時は無かったこと(つまり、当ビル駐車場に入庫後に発生した損傷であることを特定するため)を確認するため画像を細かく確認したのだが、やはりいずれもはっきりと特定できず。
交通課の方の聴取で、ビルに入庫する前はどこに駐車していたのか被害者に聞いたところ、当日ビルに入庫する前は繁華街にある自走式の駐車場に駐車していたことが分かり、その駐車場に防犯カメラの協力を要請することに。
実は交通課が来る前日に、被害者が既にその駐車場での事故の可能性も考え、その駐車場の管理事務所にお願いして防犯カメラ画像の確認をしてもらったところ、「わからなかった」との回答だったそうです。
しかし当ビルの防犯カメラ画像や、当て逃げしたと疑われる損傷した車両が見当たらないこと、破片などの痕跡が見当たらないなども含めた現場の状況から、当ビル駐車場で発生したのではなく、別の場所でやられたのでは?との交通課の見解。
前日夜に駐車していたという繁華街のその駐車場の防犯カメラも交通課により再度調査していただくことになり、あとはおまかせすることにしました。
そして二日後、被害者より「警察の捜査で当て逃げした車両がわかった。やはり別のあの駐車場だった。お騒がせして大変申し訳なかった。」との連絡あり。
当初、被害者がその駐車場の管理事務所に防犯カメラ記録画像の確認を直接依頼した結果、「画像を見てみたが、わからなかった」との回答だった。それが交通課の方による記録画像の丹念な調査の結果、当て逃げの該当車両が特定されました。
つまり、被害者はその駐車場から出庫するときから車両の異変に気が付かず、その後当ビルに入庫した後、外出時に損傷に気が付くまで当て逃げに気が付かず、その損傷に気付いた場所である当駐車場内での当て逃げと、いわば勘違いしてしまっていたわけです。
自分も同じ状況になったとしたら、確かに同じように勘違いしていたかもしれない。と、ふと思った。
そして、その後、当て逃げがあったその駐車場の管理事務所の方も、被害者の依頼を受けて多忙の中協力いただいた結果だと思うが、実際は当て逃げ車両が映っていたのです。
普通なら、「調べたけどわからなかった」と言われれば、そこで諦めて当て逃げ車両をみつけることはできなかったのだろうが、交通課の総合的な見識で、再度調査する必要があると判断したのでしょう。
今回の件では当て逃げの被害届を提出してから捜査開始が早く、解決も被害発生日から5日目と、早かった方ではないかと思います。
それから、人間の記憶というものは、ときに曖昧である、ということを改めて痛感しました。
その曖昧さを補完する施策を今後同様の事案発生に備えて整備しておく必要があると判断し、最近になって、以前から検討していた地下駐車場内への複数台の防犯カメラの設置を実施した。特に防犯対策については、施設管理者としてできることがあれば、今後も様々な施策を実行していきたいですね。
後日談:当逃げ車両を特定した2日後、その車両を運転していた男性(50代くらい)が、上司と思しき男性に伴われて当社に謝罪に来ました(被害者である契約者の方から謝罪に行くよう促されてか)。二人で深々と頭を下げてお詫びする姿を見て、なんともやるせない気持ちになりました。
車を接触させてしまった後、なぜ立ち去ってしまったのか、そうしなければならなかった理由があったのか、或いは接触したことに気が付かなかったのかは分からないけど、結果的にそれが「当て逃げ」という事案に発展してしまったわけで、すぐに駐車場管理者に申し出るなどしていれば、物損事故で済んだはずですよね。
悔いているであろう今回の過ちを忘れずに、今後の人生に生かして欲しいですね。
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