ビル内で悪臭が発生し出したら、まずは配管の腐食を疑いましょう。
これは人為的作用による一時的な悪臭ではなく、特に「最近(以前から)、○○の辺りが臭うな…」という場合。
臭いといっても様々ですが、特に汚水やアンモニア臭、腐敗臭いなど排水系の臭いの場合、その付近に、水回り、特に汚水槽や雑排水層といったビルの排水を貯留している水槽(ほとんどが地階にあり)の周辺なら、その排水槽の配管が関係しているケースが多いです。
今回はそのケースについてお話します。
実は当ビルで以前から、地下1階駐車場内にある汚水槽付近で、汚水臭が漂っているのを感じていました。
これが車庫内にある汚水槽から立ち上がる配管⇓
初めて臭いを感じた数週間前に、マンホール蓋の隙間の有無や排水管の腐食穴の有無を調査しましたが、原因特定には至りませんでした。
そして最近、臭いが一段と強く感じるようになり、この付近に駐車しているテナントさんからも「臭い」との苦情もあり再調査したところ、ありました!!
誰もが排水を汲み上げる「揚水管」と思っていたところ、「通気管」でした。そして汚水槽から立ち上がる通気管の上部(天井寄り)の継手に腐食部分、更に横引き部分でも腐食を発見。
前回は下ばかり見ていて、天井寄りの高さで、更にダクトに遮られて見つけられませんでした…トホホ…。
これはひどい腐食。悪臭が出て当然。もしこれが通気管ではなく揚水管だったら、汚水ポンプが起動したら、腐食部分から汚水が噴き出ていたかもしれません。
ということで、急遽、給排水設備専門の業者に改修を要請し、その日のうちに現場調査と改修方法など打ち合わせしました。
改修内容としては、腐食した古い鉄管はすべて塩ビ管に取替えます。これだけです。
そして、3日後の工事日を迎え、着手。
通気管は床スラブ側継手寄りから切断。
特に腐食していた上部を切断。完全に穴が空いています。通気管も経年の湿気でこれほど腐食するんですね。
更に横引きの腐食部分も…除去しました。
そして、すべて塩ビ管で接続し直しました。(完了) これで安心。
悪臭もピタリと無くなりました~!
当ビルは既に築40年以上経過し、所々改修はしているのですが、まだまだ注意を要す箇所があります。
ビルもマンションやアパートもそうですが、築20年以上経過してきますと、まず心配なのが給排水といった水回り系の配管の劣化ですよね。
今回のケースもですが、配管腐食が疑われる場合で、それが鉄管なら、以下の点に気を付けましょう。
・配管の継手部分を確認(=継手部分は特に腐食しやすい)
・配管の近くに別の配管やダクトなどの設備があり、調査するにも目視できない箇所ほど腐食している可能性有。
・揚水管だけでなく、通気管も腐食する。
・腐食する前に、鉄管部分を図面上でチェックし、計画的に順次、塩ビ管に改修する。(但しコストを重視するあまり、部分的限定的に改修するのではなく、「古い鉄管部分はすべて改修する」というスタンスで)
ビルの悪臭問題は時にビルオーナーさんや入居テナントにも多大な損害を生じさせるケースがあります。
そのトラブル例や解決策も様々ですが、今後も、事例に応じて取り上げていきたいと思います。
コメント