今回は、おそらく、どこのビルでも抱えているのではないかと思われる、“看板問題”のお話です。
もちろん、繁華街の飲食店ビルは例外としても、ビジネス街のオフィスビルでも看板等の掲出を許可しているビルはありますので、看板等掲出を禁止又は制限しているビルの場合ということを前提にお話ししていきます。
そして、ここでいう看板等とは、
・立看板(移動式スタンド看板ともいう)
・パンフレットラック(チラシ用スタンド)
・マネキン(販売用の服を着せたトルソー)
・ポスター類(自室窓に貼るものも含む)
などをいい、ビル外壁に元々設置してある袖看板や屋上塔屋看板、壁面看板、エントランスのテナントインフォメーションパネルは除きます。
私自身、以前勤務させて頂いていたビルでも、そして今現在勤務させて頂いているビルでも
看板その他掲出物の設置は禁止ではなく、“制限”していました。
そして、それによるトラブルも嫌というほど経験してきました。
なぜ、看板等広告物の掲出を制限していたのかですが、
・共用部分の通行障害や事故防止
・ビルエントランスの美観上
・近隣やテナント同士のトラブル防止
といった理由です。
そして、私が経験した事例としては
事例➀:看板やポスターなどの掲出を禁じている共用部分の廊下やエントランス、路上に勝手に立看板を置かれたり、掲示物を貼られる。
事例②:「お客さんが来ないのは看板を出せないから」と言い出し、看板を出させてほしいと訴えてくるテナントがある。
事例➂:近隣からの苦情
事例④:看板による人身事故の発生
これらはよくある事例ではないでしょうか。
事例➀は、これは故意というより、「共用部分への看板等広告物掲出は不可」という規則を知らずに設置してしまう(特に従業員の方)ケースがほとんどですね。
規則であることと、何故、設置してはいけないのかをやんわり説明させていただくことで、ほとんど解決できます。
事例②は事務所以外の物販店、エステ等の店舗テナントに多く、契約時に看板等不可の了承を取り付けていても、入居後しばらくして、
「看板が出せないからお客さんが来ない」
「看板がだめなら、ポスターをエントランスに1ヵ月間という期間限定で貼らせてほしい」との要望が出る場合もあります。
その一方で、看板を出さなくても集客に苦戦していないテナントが隣に入居しているのも事実。
何が違うのか?はまた別問題としても、このような要望が後から出てくるケースもあります。
ちなみに当ビルの店舗テナントは地下1階と1階の2フロアに20店舗入居中で、自店の前に看板を出すことは認めていますが、共用部分への看板掲出を一旦認めてしまうと常態化してしまい、他のテナントからの苦情はもとより、公平性が取れなくなります。
ただ、ビル側としてそのようなテナントの流出を食い止めるためにも、集客方法を看板に頼らずに、再度検討してはいかがかと投げかけます。
・SNSなどでの広告、
・チラシ配布(禁止区域でない場所で)
・イベント開催(週末のみビルエントランス前で行うことを認めて)
等提案します。
SNSなどでの広告はテナント側で既に行っている場合が多いのですが、週末のイベントや街での地道な宣伝で集客したテナントを見てきてますので、そういった事例を話しながら提案することもあります。
事例➂④は館内であれば避難計画上も通行障害となる恐れもあり、他のテナントだけでなく近隣や通行人をも巻き込んでしまうようなトラブルで、路上に置いた看板が隣の敷地に跨いで置かれていたり、敷地内に置いていた看板が強風で倒れ、通行人に当たり怪我をしたということもありました。
このような事例を踏まえ、テナントに理解を得て公平性を保ちながら、ときにはテナントに協力するという場面もあります。
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