オフィスビルのトイレについてはビルを形成するうえで実は最も重要なエリアであるといえます。
同時に、セキュリティ面にも神経を使う部分でもあります。
当ビルは隣に公園があり、その公園利用者やビルには用事がない通行人が当ビルトイレを利用し、ゴミを放置したり喫煙したりといったことで入居者からの苦情も多く、長い間悩みの種でした。
特に1階トイレ側(時には地下1階や2階トイレも使われることも)は外部通用口に近い上、公園からも距離的に近く、公園利用者には集中的に使われていました。
そして10年前、ビルの大規模リニューアルの際、地下1階・1階・2階のトイレ扉にテナントしか利用できない様に、電子錠を設置。
扉外側に取付けた四角いユニットにカードキー(テナントに必要枚数を渡しておく)をかざすとテンキーが表示され、暗証番号を押すと電子錠が開錠されトイレに入れる仕組みです。
本来はオフィス用のものをトイレに設置していました。
電子錠導入後のメリットとしては
➀公園利用者や通行人など、外部の者の利用がなくなり、汚損や喫煙も減少。
②テナントやその来訪者のみの使用になったのでトイレが混み合うこともなくなった。
➂トイレのセキュリティ化により、防犯上もテナントの評判がよくなった。
デメリットとしては、
➀テナントの来客者がトイレを使う際、従業員がトイレまでついていき開錠の仕方を教えなければならない。
②ユニットが電池式なので、電池の消耗で開錠動作の反応が悪くなるため定期的に電池交換が必要。
➂暗証番号をタッチする順番を間違えるとうるさいくらいのエラー音が鳴り続く。
メリット➀②は導入後目に見えて感じましたし、特に➀が本来の目的でしたので、設置による効果は絶大でした。
但し、部外者でも体調が悪く急を要しているような場合や障害者の方には柔軟に対応していました。
➂についてはテナントの特に女性の方や空室内覧者には安心感をもっていただくことができました。
デメリットの➀のテナントに来たお客さんがトイレに行きたいという場合、従業員がトイレまでついていき、開錠手順を教えなければなりません。
いつも来るお客さんなら1度教えればあとはカードキーを貸すだけでいいのですが、不特定多数のお客さんが来る店舗では特に煩わしく感じることは否めません。
これはメリット➂と相反しますが、空室内覧者には、そういった利便性の悪さで敬遠される場合もあります。
②は電池消耗によりカードキーや暗証番号をタッチしたときの反応や開錠動作が鈍くなり、最悪、扉を開けられなくなる(電池交換は扉内側からでないとできないため)トラブルもありましたので、そうなる前にこまめに電池交換が必要です。
また、➂の開錠手順で暗証番号を押し間違うとエラー音が鳴り響くのも気になりました。
ただ、その電子錠の仕様により色々かと思いますし、設定で解消できたのかもしれません。
そして、最近、電子錠から暗証番号式錠に一新しました。
暗証番号式という部分は同じですが、
新しい錠は
・カードキー不要で開錠はユニットの暗証番号を押すだけ
・電池不要
・暗証番号の押し間違い・開錠手順の間違いによるエラー音は無い
というタイプになり、カードキーの管理や電池交換も不要となり、動作も安定しており、使い易さ・管理し易さが向上しました。
(余談ですが、最近はスマホと連動させて開錠するタイプの電子錠をオフィス扉に補助的に取り付けるテナントも増えました。)
そして、実はこれと同時に、3階トイレも番号錠化しました。
理由としては、地下1階・1階・2階の低層階のみ電子錠化していましたが、電子錠化していない3階トイレまで上がってくる外部の人が見受けられるようになったのです。
なぜ、3階からは電子錠がないことが分かったのか?
・一応、3階も行ってみる
・3階からは電子錠が無いことを知っている
この2つしかないと思いますが、それはすぐにわかりました。
日常清掃の清掃員が、1階トイレに入れなくてドアをガチャガチャやっている外部からの人にトイレ扉を開けてあげたり、電子錠のない3階トイレを勧めたりしている場面を度々見掛けるようになったのです。
急を要していたり、身体の不自由な方でなくとも誰にでも親切心で見かねて開けてあげたりするのは設置した本来の目的に鑑みれば、少し考えていただきたいのと、不用意に、番号錠の付いていないフロアのトイレを教えてあげるのも、慎むようやんわり注意しました。
ただ、これはたまたま清掃員でしたが、テナントの人も親切心で同じような対応をしていることはわかっていましたし、それを完全に無くすことは無理がありますので、あまり使用制限には固着しないようにしています。
それでも、3階に番号錠設置前と比較してトイレの利用状態が改善されました。
さすがに4階まで上がってくることはほとんどありませんが、しばらく様子を見ながらまた新たな課題に対処していきたいと思います。
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